計算ミス。
解けるはずなのに間違うのって親としてはとっても歯がゆいですし、中学受験を考えているととっても不安になりますよね。
この記事では高学年になって計算ミスが多い子にならないように低学年から取り組める事をかいていきます。
計算ミスをケアレスミス、凡ミスと片づけない
- うちの子おっちょこちょいでよく計算ミスするのよね~
- 落ち着いてやればできるんだけど~
「性格的な問題で計算ミスが多い」「落ち着けばできる」とおっしゃる方がいますが、計算ミスのほとんどの原因は単純に「演習量不足」です。
演習量が足りていれば間違った答えを書いた時に違和感を感じるようになります。その違和感を感じない「演習量不足」なのです。
計算はできるけどたまたまできなかった、ではありません。
高学年になってひらがなをうっかり書き間違う子や落ち着かないとできない子ってたくさんいますか?そうではないと思います。
それは毎日ひらがなを目にして書いている(=演習量が豊富)だからではないでしょうか。
「見直しなさい」「落ち着いて解きなさい」のようなアプローチよりも演習量を重ねるほうがよっぽど効果的です。
・・・でも高学年だと中々計算に時間を割くことができませんよね。なので低学年からの積み重ねがとっても大切なのです。
「できる」のちがい
学生の頃に家庭教師のアルバイトをやっていた早生まれ母。
中学1年生のお宅に数学を教えに行っていました。
お母さんは「元々算数が苦手だったけど中学生になってから全然ついていけないから学校の勉強について行けるようにしてほしい」とご希望でした。
さて、初回の授業で生徒さんがどの程度の学力かを確認するためまず中学校の範囲で問題を解いてもらいました。
すると驚く事が。生徒さん、中学生の範囲がどうのこうではなく九九の範囲の簡単な割り算を間違うのです。
ん?これはもしや、と思い九九を1の段から9の段まで言ってもらいました。
・・・案の定すごく遅い・・・。
言えてはいるんです。でも「・・・・」な時間が結構あり、答えがスパーン!とは出てこない。
九九の答えばスパーンと出てこないと割り算は出来ません・・・。
その週は九九のタイムを縮めるための宿題をだしました。
生徒さんのお母さんから猛反発される
九九のタイムを縮める宿題を出したい、というお話をしたら
「うちの子は九九はできるのに九九の宿題を出さないでほしい!!ちゃんと中学生の宿題を出して!!」
と猛反発されました。確かに九九はできます。できるんですけど、計算のツールとして使える程度にできているかと言われればNOなのです。
九九でいっぱいいっぱいなので暗算で掛け算なんてできません。割り算も50以上の数になれば間違いが頻発している状態です。
算数・数学は積み重ねなので中1の問題を解くためにはそれまでの足場が固まってないと難しいというお話をしました。
それでもお母さんは「時間はかかるかもしれないけどできているんだから!」とおっしゃいます。
結局九九の宿題以外にも中学生の宿題も出すことで納得はしてもらえましたが「小学校の範囲はできているのに!」という思いはずっとお持ちのようでした。
2年近くかけて小学校の範囲の算数を補いながら中学校の範囲も進めつつだったので私も大変でしたが生徒さんも大変だっただろうと思います。お勉強しなきゃいけないのは数学だけじゃないですもんね。
計算での出来るというのは片手間でもできるぐらいの事
計算で「できる」というのは「答えが出せる」という事ではありません。
正確さと速度がある程度出る状態ではじめて「できる」と言えるのです。
そして計算は前提となる単元をしっかり固めておかないと、次の単元で劇的にできるようになることはありません。
計算には「素」がある
計算と言われれば毎回考えるようなイメージがありますが、計算にも「素」があり、暗記してしまう必要があるものがあります。難しい計算はその素を組み合わせているのです。
計算で暗記と言われれば真っ先に「九九」を思い浮かべるかと思いますが、九九以外にも1~2年生の計算のほとんどが計算の「素」となるものであり、暗記しなくても解けますが暗記してしまうぐらい正確さとスピードが大切な範囲なのです。
なぜ1~2年生の計算が重要なのか
まず1~2年生で習う計算の範囲を確認してみましょう。
1年生で習う計算
- 1の位同士の足し算(0~9+0~9)※繰り上がりも含みます
- 1の位同士の引き算(1~9-0~9)
- 繰り下がりのある引き算(11~18-2~9)
2年生で習う計算
- 2桁までの足し算のひっ算
- 2桁までの引き算のひっ算
- 九九
なぜ1~2年生の範囲が大切なのか
1年生の計算は内容的にそこまで難しくはないので計算に時間はかかるけどできないということはない範囲だと思います。
でも、この1年生で習う計算は2年生以降で習う計算のすべての元となるんです。
例えば2桁までの足し算のひっ算。
19+25
という式があったとしましょう。この計算をするためには
- 1の位の計算、9+5
- 10の位の計算1+2+1(繰り上がり)
をする必要があります。
9+5と1+2+1は1年生の範囲の計算ですよね。なので2桁の足し算は1年生の範囲の足し算を複数回計算する必要があります。
では次、2桁までの引き算のひっ算。
38-19
という式があったとします。この計算をするためには
- 1の位の計算18-9
- 10の位の計算2-1
をする必要があります。
18-9も2-1も1年生の範囲の計算です。なので引き算のひっ算も1年生の範囲の引き算を複数回計算する事で答えが求められるのです。
ですので、1年生の範囲の計算は2年生の計算の基礎となります。
では次、2年生で習う計算について。
3年生になると掛け算のひっ算を習います。
掛け算のひっ算は
- 九九
- 足し算のひっ算
の組み合わせで計算します。
ということは九九があやふやだったり足し算のひっ算があやふやだと計算するのに時間がかかりますし間違いも多くなります。
割り算は九九がスラスラできないと計算できませんし、割り算のひっ算は
- 九九
- 引き算のひっ算
の組み合わせで計算します。
これ以外にも分数は掛け算がスラスラできるのが前提ですし、少数の計算も足し算引き算がスラスラできるのが前提です。
算数は高学年になっても計算の一番小さな単位は1~2年生の計算になるのです。
まとめ
高学年の計算のためには低学年の計算がしっかりできる事が必要だという事がお分かりいただけましたでしょうか。
中学年以上の計算で単純な計算ミスが多い場合は低学年の計算の精度とスピードを上げる事で解消されることもあります。低学年の計算でしたらスラスラできるはずですから1日5~10分程度でもできちゃうのでお子様もそんなに苦にはならないのではないでしょうか(*^-^*)
演習はたっぷりやってるのに計算スピードが上がらない、計算ミスが多い場合には演習量以外の要因が考えられます。
次の記事ではそちらについてご紹介します。